2017年09月28日

バーボンウイスキー・オールドグランダッド

「今日はすごくいいことがあって」
そう語ったバーテンダーは、
仕事帰りのお客さん。
なんでも店内で流していた
レイチャールズのMVに
反応したお客さんがいたそうだ。

レイチャールズは盲目でありながら黒人の魂を歌い、
ソウルの神様とまで言われたカリスマ歌手。

それで、バーボンの先駆者的存在でもある、
オールドグランダッドをダブらせ、すすめたらしい。

レイチャールズの力なのか、
それをたいそう気に入られたそうで、
調子づいた彼は、
同じ仲間のベーシルヘイデンをすすめ、
これまた気に入られて上機嫌、
という流れだそうだ。

ま、なんにしても、
すすめたお酒を気に入ってもらえるのは、
バーテンダー冥利に尽きるわけで、
上機嫌なのも納得。

というわけで、
今回はその二種類のバーボン
ご紹介します。

OldGranddad_2.jpg
オールドグランダッド【OLD GRABD DAD】
アルコール度数43度(86proof)6年熟成

アメリカ大統領がまだジョージワシントンの時代、
ベーシル・ヘイデン・シニアが蒸留所を建てた。
家業は受け継がれ、
三代目レイモンドが1882年、
バーボンウイスキーを誕生させた。

彼は祖父への敬愛を込め、
オールドグランダッドと名付けた。
初めて商品化されたバーボンともいわれている。

原料比率は定かにされていないが、
ライ麦の含有率が高く、
ジムビームの倍以上といわれている。

同バーボンは他にも、
オールドグランダッド・ボンデッド(注1)
オールドグランダッド114
の二種類がある。
現在はジム・ビーム蒸留所で造られている。

basilhayden_2.jpg
ベーシルヘイデン【BASIL HAIDEN’S】
アルコール度数40度(80proof)8年熟成
オールドグランダッド用の熟成原酒を
厳選してブレンドした
スモールバッチバーボンウイスキー。(注2)

名前の由来は
オールドグランダッドを世に出した
ベーシル・ヘイデン・シニア氏の名から。

オールドグランダッドと同様、
ライ麦の含有率が高く、
スパイシーな風味があり
軽やかな口当たり。


注1:ボンデッド
ボトルド・イン・ボンド法の略
単一蒸留所で同年ワンシーズンに蒸留された原酒のみを、
政府の保税倉庫で4年間熟成させた後、
100プルーフ(50度)で瓶詰めするという法律。

注2:スモールバッチ
選び抜かれた少数の樽(10樽以下)を
ブレンド(混合)し瓶詰めしたもの。
また一回の生産が少量の場合もこう呼ばれる。
posted by youcoat at 20:44| Comment(0) | バーテンダーの基礎知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月27日

バーって不思議だ

ふらりと訪れたその人は、
「マッカランをダブルで」
と注文された。

ダブルで飲む人もめっきり減った最近、
なんだかうれしくなって
その人に気持ちを打ち明けた。

「家で飲んでもこうはならないんです」
その人は味を褒めてくれた。
だから家ではいつもストレートらしい。

ウオッカも同じくストレートだとか。
ロシア人みたいだな……。
とにかくかなりの酒好きとみた。

酒好きに悪い奴はいねえ。
古くさい時代劇の台詞よろしく、
その人との会話ははずんだ。

旅行が趣味だというその人は
スポルディングという自転車で、
全国を旅するらしい。

旅であったいろんなことを記事にし、
それを英訳して外国人に紹介する、
そんな仕事をしているという。

「明日、面接なんです」
旅ライターに飽きたその人は、
酒好きが高じてバーの仕事を選択。

なんだか不思議なその人が、
二杯目に選んだ酒は、
ニッカのフロム・ザ・バレル。
nikka.jpg
アルコール度数は51%と高め。
厳選されたグレーン、モルトを
ブレンド、後熟を経て生まれた至極の逸品は、
イギリスの種類専門出版社が主催する品評会
インターナショナル・スピリッツ・チャレンジにおいて
5年連続で金賞を受賞。

深みのある味わいは、
オンザロックやストレートがおすすめ。

いろんな話をして、
うまそうに最後のひと口を啜って、
その人は帰っていった。

バーって不思議だ、
と思うときがある。
その人と話していた二時間足らずの空間、
わたしたちは、
違う時空にいた気がした。

それが証拠に、
その人が帰った瞬間、
まるで時計の針が
自らの仕事を思い出したかのように、
時間が、景色が流れ始めた。

といった気がした。
バーって不思議。
posted by youcoat at 23:20| Comment(0) | バーテンダーの独りごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月18日

台風一過

猛威を振るいながら北上する台風。
各地にもたらされた被害は、
メディアによってリアルタイムに報道される。
taihu.jpg
昨日、大阪では昼間の時点、
まったくもって平穏だ。
ただ、激しく揺れる木々が、
これからもたらす災いを予告しているように、
ぼくには見えた。

これはえらいこっちゃ。

よほど休もうかと思ったけど、
台風で店を閉めたことなど
いまだかつて一度もない。

ただこの突風、
アルバイト君の出勤がとりあえず危険に思え、
どーせ暇だろうとの考えもあって、
連絡して休んでもらった。

で、いつも通り開店。
電気をつけるや否や、
一人、また一人、またまた一人。
またたく間に賑やかになる店内。

フードの注文もわんさかで、
一人てんやわんや状態。

最悪!
なんでこんな日に限って。

ようやく少し落ち着いて
外の様子を見ると、
雨こそ振っているものの、
そう大したこともない。
普段の雨天と同じだ。

で、思った。
あれほどの被害を映しだし、
恐怖を植え付けられた大阪人は、
『なんだ、大したことないじゃないか』
と、なると飲みに出る。

そういうものなのかな。
と、思った。

よその地域の人には大変申し訳ないけど
今回の台風、大したことなくてよかった。

アルバイト君も無事でよかった。
(出勤してないから当然か……)

えーと、
これぐらいしかできないけど、
各地にいる知り合いのみんなが、
無事でありますように、
ただただ祈るばかりです。
posted by youcoat at 10:40| Comment(0) | バーテンダーの独りごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする